夢心地「岩田栄次の波乱人生」第21話

第21話「新しい職場と友達」 ■薄暗いアパートのカーテンも無く外から素通しの部屋。友達もいないはずの 処に突然「コンコン!」ノックの音が! 誰も訪ねて来るはずも無いと思いながら首を傾げてドアを開けると、昼間部屋に案内してくれたミッちゃんであった…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第20話

第20話「和歌山での新生活」 ■お店の真ん前の路地を入り、二階建てのアパートのドアを開けて彼女は栄次の荷物に手を伸ばし「此処の二階だから!それ貸し!ウチが持ってやるけん!」と、荷物を取り上げて二階への階段を先に駆け上がって行った。 彼女のミニス…

夢心地「「岩田栄次の波乱人生」第19話

第19話「新天地 和歌山の巻その1」 横浜馬車道のアパートを後にして、チーフと待ち合わせをして一路和歌山に向かった。 勿論、栄次は初めての和歌山であった。 和歌山駅を降りて目的地に着いた。・・・が、 来る途中チーフに聞いていた処に、話していた建物…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第18話

第18話「栄次突然の旅立ち」 チーフが久々にやって来て「和歌山の店の目途がついたから今月末には行けるようにしろ!良いな!」「ママには最初からそう言う条件で話をしてあるからな!」と、 一方的に言われたのであるが、栄次の心情としてはかなり複雑な…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第17話

第17話「ママは女遠山の金さん」 前回、栄次は美人ママさんに後ろから抱き付かれて、かなり、男として危険な状態であったが・・・・気が付いたものの、身動きが取れずじっとしている他なかった。 お昼近く迄そのまま寝ていただろうか? ママが抱き付いたまま…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第16話

第16話「栄次!運命の分かれ道」 親指の傷もやっと痛みが消えて、取れそうだった親指も無事元のさやにおさまった。 いつものように薬味を刻んでいると、ドタドタとチーフが入って来たが何か雰囲気が違い、かなり機嫌が悪そうであつた。 いきなり白衣と前掛…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第15話

第15話「名誉の負傷」 初めてセンマイの調理を任された栄次は、全てのヒダを洗い終わったものの 水切り作業をしようと左手でそのセンマイを持ち、右手に持った小刀で太い柱に 刺そうとした・・・その時水分を含んだセンマイが重く1cm位下にずれた瞬間 左手…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第14話

第14話「栄次も立派な料理人」 ■当初の期待に反して半年近く皿洗い、掃除、雑用の毎日であった。 そんなある日の朝、いつものように出勤すると、チーフに呼ばれ何やら40cm位の新聞紙に巻いた細長い物を栄次に手渡された。 「半年間よく頑張ったな!これ…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第13話

第13話「下積の思いがけない余録」 朝鮮料理やに引き込まれた栄次は、当初の期待に反して皿洗い・掃除」・雑用の毎日であった。肉をいじらせて貰えるのはタン・ハツ・センマイ等臓物の下洗いをするときだけで、勿論、包丁は一回も握らせてもくれなかった。…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第12話

第12話「キラキラ光る夜空の星」 ■一晩考えた末栄次はチーフの意向に沿って朝鮮料理店に行く事を決心した。 それは、今の自分には何にも誇れるものが無い事、将来自分は何を糧にして生きて行くべきなのか、折角水商売に飛び込んだんだから包丁が使えるように…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第11話

第11話「栄次流転の第一歩」 ■朝、目が覚めるとそこにはタカちゃんの姿は無く、テーブルの上に一枚のメモ が置いてあった。 「栄ちゃん!いろいろありがとう、私、昨日でお店辞める事にしたんだよ」 「又、何処かで会おう!いい思い出だったよ」 栄次の二…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第10話

第10話「水商売グループの社員旅行」 ■勤めてから三ヶ月位だろうか、ビル全館(同じ会社)の社員旅行が開催される事になった。栄次は積立もしていなかったが、Mgが急遽行けなくなり代わりに行く事となった。 総勢60人位のバス二台の団体で一泊二日の熱海…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第9話

第9話「水商売の人生観」 焼肉店のチーフが白衣姿の雪駄履きスタイルで駆け込んできた。 「おい!栄次!とったぞ!1本買い1-8でバッチリ5,2倍1万ちょっとになったぜ! 「お前博才あるで!」と1万円札を手にする事になり、初競馬の初収入であった。 こ…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第7話

第7話「新たな生活の始まり」 ■採用された翌日直ぐに住む部屋を世話してもらい、布団から前借りのお金迄も都合してくれたMgには本当に涙が出るほど感謝感激していた。 アパート迄布団を運んでくれていろいろな面倒を見てくれたまり子さんにも感謝しきれない…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第6話

第6話「生まれて初めての男涙」 ■お店のソファーで一晩明かした栄次。 翌朝、チーフが出勤してビックリ仰天したのだった。 伊藤チーフはカウンターの親玉である。 「栄次!お前が全部やったのか?」と、目を見開いてびっくりしている。 「今朝、早く目が覚…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第5話

第5話「横浜のそれから」 ■行く当てもなく西口方面をブラブラ歩いていた。とにかく今日の寝泊まり先を探さなきゃならないと思い、ポケットに手を突っ込んだ。。 千円札2枚とじゃり銭だけである。駅の近くまで歩くと大きな5階建てのビルの地下に 喫茶店らし…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第4話

第4話「大学進学」 ■実家が映画館という特殊な環境で育った栄次は、友達から羨ましがられたり変な奴だと後ろ指を刺されたりした事があった。 裕次郎に感化されバケツをドラム代わりに叩いたり、アキラに感化されギター代わりにほうきを持ったり、長目の茶碗…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第3話

第3話 秘密工作 ■悪ガキ共がやって来る前に、事前にやっておかねばならない事があった。 何故ならば、肝心なショーが舞台で堂々と見る事が出来ないのである。幸いにも隣りの部屋がダンサー達の着替え室であった為、隣の部屋に見つからずに覗く事を考えた。 …

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第2話

第2話 同級生がやって来る土曜夜の謎 ■同級生が毎週土曜日になると何故、栄次の家にやってくるのか? それは勿論、週代わりで新しく上映される映画を見たい事もあるが、実はそれだけで はないのである。 彼等の目的の一つは、毎週土曜日がオールナイトで朝…

夢心地「岩田栄次の波乱人生」第1話

今回のメルマガ「夢心地」は主人公岩田栄次の波乱な人生をお送りいたします。 少しでも読者の皆様にお役に立つ事が出来れば幸いです。 ■第1話「映画館の息子」 物語の主人公栄次は信州の田舎町で生まれ育った。男四人末妹の五人兄弟の三男坊である。栄次の…