夢心地「岩田栄次の波乱人生」第7話

第7話「新たな生活の始まり」

■採用された翌日直ぐに住む部屋を世話してもらい、布団から前借りのお金迄も都合してくれたMgには本当に涙が出るほど感謝感激していた。

アパート迄布団を運んでくれていろいろな面倒を見てくれたまり子さんにも感謝しきれない程の気持ちで一杯だった。

「遅く迄済みませんでした!荷物も無いので後は一人でやりますので」と、申し訳無く栄次が言うと、「いいのよ!私ね、朝から喫茶で務めてこの後7時からあのビルの3階のクラブで働いているの!まだ時間あるから良いのよ!」

「カーテンが無くて外から丸見えだから電気消すわよ!」と、言うのが早いか勝手に

裸電球を消してしまった。

「あっ!」と暗闇で声を出す栄次の顔の前に、突然彼女の顔が現れた。

昔観た映画のワンシーンがまさか自分の身に起こるとは思いもよらぬ事であった。

慣れた手つきで完全に翻弄されてしまったが、何故か虚しさだけが残っていた栄次であった。

一夜明け、早朝お店に出社すると「モーニングあるから食うか?」とチーフが差し出した。何気ないこのしぐさに、Mgも、チーフも、まり子さんも、会う人会う人皆良い人ばかりダ・・・と、心で感激していた。

少し経ってまり子さんが出勤して来た。「昨日は有難うございました」栄次が頭を下げてお礼を言うと「ああ!良いのよ」と何事も無かったかのように素っ気ない態度であり、それ以上声を掛けられない雰囲気なのであった。

一日の予定もコレといってやりたい事も無い状態なので、朝から夜迄ブッ通し勤務で特別三食付き勤務として働く事となった。夜22時閉店。厨房の片づけやら翌日の仕込みやホールの掃除などを終える頃になると、Mg達がそわそわして、ホールの一番隅にあるテーブルに何やら大きな板の台をセットしている。

「予約でもあるんですか?」との問い掛けに、週三回程イベントがあるんだとの事だった。「イベント?何をするのかな?」と思っていると

Mg、チーフ、サブ、スタッフの四人が私服に着替えて隅のテーブルに集まって来た。

それを見た栄次はすぐにイベントの正体が理解できた。

果たしてこのイベントとは何か?と、言うお話は次回夢心地のkokoroだ!