夢心地「岩田栄次の波乱人生」第3話

第3話 秘密工作

■悪ガキ共がやって来る前に、事前にやっておかねばならない事があった。

何故ならば、肝心なショーが舞台で堂々と見る事が出来ないのである。幸いにも隣りの部屋がダンサー達の着替え室であった為、隣の部屋に見つからずに覗く事を考えた。

そこで、事前にボード一枚で仕切られていた壁板の節穴を綺麗にくりぬくことに成功した。二時間近くかけて、我ながら完璧に仕上げたのだった。

三人の友達は夕方早々にやってきた。一応見せかけの勉強道具を持ってハシゴを登って栄次の部屋の窓ガラスを叩いてやってきた。

三畳間の栄次の部屋に四人でいるととても暑苦しい。

少し経つと、外が騒々しくなってきた。館内の混雑模様が伝わってくる。

そうこうするうちに、隣室にバタバタとショーの一団が入って来た。

栄次はみんなに口止めをして話をしないように「シィー」と指を口にあてた。

成人女性の裸なんか見た事も無い栄次達は、ワクワクぞくぞく興奮していた。

物音を立てずに静かにしてショウが始まるのを待っていた。

「そろそろ覗くか?」と、そぉーと節穴を取って順番に代わる代わる覗いてみた。

「凄い!見えた」着替え最中の二十代位の女性や三十代と思われるダンサー二人

用心棒らしき男二人が見えた。

興奮しながら覗き見をしていると、突然「あそこ!誰か覗いている!」と見つかってしまった。

罪悪感を持ってるから、部屋の電気を消して覗いた為に覗いた目を見られてしまったのである。用心棒らしき体格のガッチリした男が栄次の部屋のドアを叩き、ここの息子だと説明し、「もう覗きません!」と約束させられ止む無く断念したのであった。

若き日の苦い思い出であった。

次回の夢心地のkokoroだ!